第九地区
やっと観ました。
ちょっとだけ考察&感想
演出も派手でしたがむしろ精神ヘドロ系でした。登場人物がいちいち欲望にまみれ、ある意味とても効率的な選択をする。一方で主人公ヴィカスの心理はブレブレで、立場による対象(エイリアン)の見え方の変わりっぷりを体現している。
映画全体としてのメッセージは「“立場”によるフィルターを取り去って主体的に行動できる大人になりましょう。」、というもののように思える。要所に挿入されるドキュメンタリー風の映像(マスコミ)はそのフィルターの象徴だと言える。
ヴィカスは最後には“立場”に関係なく、自らの経験を基に行動しエイリアンに加勢する。もう自らの社会復帰など関係無く、友人を助けるために傭兵部隊(政府)と戦う。
傭兵部隊と戦う際、ヴィカスはロボットに乗る。ロボットアニメでよく言われるように、ロボットは自己実現の象徴。しかし、昔のガンダムなどと違うのは、ロボットが“社会貢献”ではなく“個人の思い”を貫くための大人の身体として用意されている点。
この映画は旧来の“社会貢献”ではなく“個人の思い”に従って生きるという生き方を提示しているように思う。そして、個人の視点を獲得するためには、現在の立場から脱却する必要があると主張しているように思える。
メッセージとしてはもはやありふれたものだけれど、人種差別のモチーフと過激な描写に強く惹かれる作品でした。
以上、『第9地区』を視聴した感想でした。