好きなことを、好きなだけ。

MTG, ゲーム, 漫画など、好きなことをつれづれなるままに。1記事15分で書く。

進撃の巨人 / 諌山創

巷で噂の『進撃の巨人』を3巻まとめて買いました。



怪物退治系好きだし。

という訳で感想を。

◆あらすじ------------------------------------------------------

 時代設定は中世、大砲がかろうじてある世界。人類は突然現れた巨人に絶滅寸前まで追いやられ、知性の低い巨人には突破できない城壁で囲った要塞都市で暮らしていた。都市建造から100年の間城壁が破られることはなかったが、ある日城壁を超える大きさの巨人が現れ人類は一つ内側の壁まで撤退、領土を失うことになる。

                                                                                                                                  • -
  • テーマは「人間の欲深さ」

敵が人外ではなく巨“人”という設定がこの物語のテーマに直結している。

回想シーンにおいて誘拐犯に捕まったヒロインが、獲った鳥を見せて笑う父親を犯人に重ねていることから、誘拐犯と自分の関係を「狩人と獲物(≒人と家畜)」と例えていることが分かる。

この構図は巨人と人類にも当てはまる。そして、狩る側の巨人は人類から見ると理解不能な存在として気味悪く描かれている。

その気味悪さは巨人の行動原理で表されている。巨人は人口密度の高いところに突っ込んできてただただ人を喰らう。しかも巨人は本来生きるために人を殺す必要はない。城塞を突破してまで人を喰う必要がないのに、わざわざやってきて欲望に忠実に虐殺を行う。


つまり巨人は人間の欲深さ、気味悪さ、理不尽さを体現した存在として描かれている。


また、この世界では人類は巨人という共通の敵を得て一致団結しており、主人公達戦士は共同体のために命を投げ出す覚悟をしている。
しかし実際には、巨人の恐怖に狩られた人間が自己保身に走る様が繰り返し描かれている。どんなに取り繕っても結局は自己中心的な振る舞いが人間の本質であると言わんばかりに。


よって巨人を通して、また、極限状態での人の振る舞いを通して人間の本質をあぶりだそうとしているのが本作品であると思う。


GANTSやベルセルクやよくあるパニック映画の要素に中世の技術力という戦術的な制限をかけたらこうなる、という感じだが、巨人を通した人間の描写とその巨人に真っ向から挑んでいく姿勢はこの先の展開と物語の着地点を期待させる。



  • 本書の欠点は「読みにくさ」

設定やメッセージは良い。しかし一読して感じたのは読みにくさだった。

どう読みにくかったのか、まとめてみた。

・絵が粗い
 多くのレビューでマイナス評価されている要因。しかし、まだ23歳の新人と考えれば描いていくうちに持ち味になっていくのではないか。でも表情が乏しいのはいただけない。

・見せ方
 モブキャラの顔と「うわああああ」しか書いてないコマとかわざわざ描く必要ない。いちいち喋っているキャラの顔を描くことで、誰の視点で読んでいいのか分からなくなる。そういう意味で見せ方が上手くない。

・人物の描写
 キャラクターの心情描写がいまいち。というか薄い。なので全体的にフラットにな感じになってしまう。さらに見せ方との兼ね合いでいちいちモブキャラのセリフがフォーカスされる形になり、その度に「こいつ誰だっけ?」と気になってしまう。読みにくさの主要因はたぶんこれ。「すぐ死ぬけどそれなりに意味のあるキャラ」を描きたいのはなんとなくわかる。ワンピースのようにモブキャラの個性を出しつつメインとモブの描き分けが出来るようになると格段によくなるのではないかと思おう。


  • 総評

 題材と設定はとても面白いので、あとは表現力が欲しい。表現力の改善と物語の結末によっては化けるかもしれないが現状ではB級止まりな感はある。今後に期待。